新型コロナを正しく恐れよ

 11月の3連休、私は日本国民の賢明さを確信した。あれだけメディアで不安と恐怖を煽り、行動自粛しなければ破滅でもしそうな勢いと喧伝し、それがモラルだと言わんばかりに煽り続けていた。日本医師会会長まで医療の範囲を超えて経済停止を直接国民に求める越権行為の自粛要請発言までしたが、3連休の人出は陰らなかった。ニュースで報じる人出の状況、私自身が繁華街で感じた肌感覚でも、鵜呑みにしていない行動だと感じられる。少しだけ安心した。

 これだけ感染者数が増えている、毎日の様に過去最高をマークしているのに、何故その様に呑気な行動がとれるのかと言う声が聞こえてきそうだが、正しく情報を読み取れば、行動制限に大きな意味は無く、感染予防さえしっかり実施すれば行動しても大丈夫、であれば、経済復興のためにも、経済テコ入れ策であるGoToはフルに活用するべきなのだ。

 でも不安だ、という方々に正確に状況を把握してもらうために、数字も示しながら確認していきたい。

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 まず、現在までの新型コロナの感染者状況を全国と東京都に別けて2本の折れ線グラフで示す。縦軸は、新規感染者数の移動平均値だが人口10万人あたりの数字にしている。細かいグラフの遷移から数々の読み取れる事実があるのだが、それは拙著『ファクターXの正体』をご覧頂ければと思うが、ここではピークの期間を読み取りたい。ウィルスが人と共存していく知恵なのだろうか、ピークが永遠に続くと言う訳ではなく、一定期間でピークアウトして流行が収束していくのだ。グラフから見て取れるのは、およそ2か月が流行の期間だと言うことだ。このことは、過去のインフルエンザなどの流行を見ても、ほぼ同様の傾向が見られるのである。

 即ち、最初の感染ピークが減少したのは、緊急事態宣言のお陰ではなく、自然の摂理なのだ。であれば、この冬の感染拡大もおよそ2か月で一旦収束を見るだろうと推測できる。あくまで予測だが、12月上旬から中旬に向けてピークとなり、1月上旬から中旬に落ち着いてくるのだろう。では、ピーク時の感染者数はどのぐらいなのだろう。1波、2波とピークは上昇傾向にあるため、当然ながら3波のピークは更に高くなるだろう。

 ここで、過去のインフルエンザの感染状況を確認してみたい。厚生労働省発表のインフルエンザ報告数は2020年11月9日から11月15日までの1週で、23人だが、昨年同期は9107人なのだ。お気付きだろうか、今年の新型コロナと昨年のインフルエンザは感染開始時期と感染者数が、ほぼ同じなのだ。昨年のインフルエンザの場合で1日1万人から2万人程度の感染者が記録されているが、その程度までは今年の新型コロナでも可能性があると思われる。

 それは大変なことだ!と思う人もいるかもしれないが、重症化率や致死率など公平に比較してインフルエンザとの差がないのも事実である。唯一、違いがあるとすれば、法律上の取り扱いであり、新型コロナと診断されると原則入院が必要となり、医療機関を逼迫させてしまうことだろう。これは早急にインフルエンザと同等レベルにする法改正を行うか、少なくともホテル療養や自宅療養を普通にすることは必要だろう。急速に悪化する傾向があると不安視する向きには、パルスオキシメータで血中酸素濃度をトレースしておけば大丈夫だと言うことを理解して欲しい。急速な悪化と言う現象のカラクリは拙著『ファクターXの正体』で詳述している。

 1日1万以上なんて、と言う前に、既に昨年その数字は経験しており、更にその前年はその倍以上の感染者数を経験している。しかし、誰もインフルエンザで緊急事態宣言が必要だとか、行動自粛だとか、人権制限を容認し、経済を停滞させ貧困に向かわせる様な考えは持っていなかったはずだ。新型コロナでも同様に考えれば、この程度の数字で一喜一憂する必要は無いのだ。

 本日は勤労感謝の日。確かに医療関係者の努力には感謝をするべきだが、旅行業者や飲食店経営者の努力にも感謝するべきであり、勤労に違いは無い。その感謝の気持ちを持てば、折角戻りつつある状況で、簡単に行動自粛など言えないだろう。

 もう一つ予測しておくと、今年度のインフルエンザは、新型コロナの3波がピークアウトした頃に、感染開始し遅れてピークが来るのではないだろうか。コロナと入れ替わりでの流行と想像している。例年で言うと、B型が先に流行し、入れ替わりでA型が流行する様に、新型コロナとインフルエンザが入れ替わるのでは無いだろうか。これはあくまで予想であって、状況を確認してみたい。

 各国の状況を見ても、新型コロナ感染症は根絶させることは出来ないウィルスである。あれだけ見習えと言っていた韓国でも現在同様に流行が始まっている。つまり、ほぼウィルスは常在しており、環境要因などで流行が発生するタイプの感染症であることは間違いないだろう。人の移動を制限して感染が抑止できるのは、ウィルスが常在していないからであり、常在している状況では人が動こうが関係ない。つまり流行る時には流行るし、健康管理を怠り抵抗力が低下すると感染するのだ。

 医療的な対処ノウハウも既に蓄積されており、医療成績は格段に向上している。無駄に病院のベッドさえ占有しなければインフルエンザと大きな違いは無い。インフルエンザでも死に至るリスクの保有者が、同様に新型コロナでもリスクが高いだけなのである。
 但し間違ってはいけないのは、インフルエンザだって感染を少しでも抑え、致死率を下げるのは国家課題であるのと同様、国民目線でも安易に考えるべきではない。健康経営が企業の経営課題であるのと同様、国家運営上も国民の健康が最優先されるべき事項なのであり、国民一人一人の責任でもある。従って、今回会得したニューノーマルの感染抑止行動は、確実に定着させ、国家のノウハウとするべきである。

 更に人類がたくましいのは、この状況でも医療は進歩し、メッセンジャーRNAという新しいタイプのワクチンが開発された。これまで開発に向けた話は聞いたことがあるが、遠い未来の様に聞こえていたのが、新型コロナのお陰と言ってもいいだろう、開発が一気に進んだ。まだ、安全性や保存性などの問題は山積だろうが、この様な上気道感染症に対してではなく、がん等他の病気への対応力として大きな価値ある進歩を遂げたと感じている。良い意味で緊急事態を利用したと前向きに考えて良いだろう。

 こういう混乱期は、後ろ向きに、思考停止状態で、不安を煽る声を鵜呑みにして不安だと言うのでなく、状況を冷静に捉え、情報を自ら選別し、前向きに対処していく、そういう姿勢が必要不可欠であり、その結果が大きな飛躍につながるのだ。