アメリカ大統領選挙の混乱を鎮める緊急提案

 アメリカ大統領選挙は、バイデン候補の当選確実と報道されており、勝利宣言もなされた。しかし、通常の手順で言うならば、トランプ大統領の敗北宣言があって、初めて勝利宣言が出来るはずだが、まだ敗北宣言は無い。

 それもそのはずで、今回の選挙における郵便投票は想像以上に問題が多い。6500万票もの投票が郵便にて行われたとのことだが、これはトランプ大統領が7100万票、バイデン候補が7500万票とすると40%以上も占めることになるのだ。それなのに、過去の郵便投票の様な限定的利用の枠ではなく、正常に実施するために必要不可欠な対策を充分に講じることなく、コロナ禍という言い訳の元、見切り発車で行われている。日本ではあり得ないだろう。従って、実際に不正があったかどうかではなく、やる気になれば不正はやりたい放題だったのだ。そして、事実不正があっても、ほぼ露呈はしないだろう。

 その状況で、郵便投票が開票される前まで圧勝であったのに、郵便投票で逆転されてしまったのだから、文句を言いたくなるのは当然である。本来であれば、バイデン側、もしくは選挙管理運営側が、公正性を証明するのが筋なのであり、トランプ大統領の訴訟を根拠ない言いがかりと言う誹りは、実は適切でない。

 それでも、郵便投票を法的に有効と認めて実施してしまったことを前提にすると、法的には証拠不十分とされてしまる。その結果、泥仕合になって混乱が継続すると、アメリカの無政府状態が及ぼす世界への影響は計り知れなくなる。

 また、トランプ氏に投票した7100万票の有権者の意思は絶対に無視できない。バイデン候補は、戦い終わってノーサイドの様に、一つになろうと宣言したが、そんな単純ではなく、実は極めて危険な発言なのである。まず、絶対に一つにはなれないのだから。

分断を生んだのがトランプ氏の様に一方的に悪者扱いして、除外するような物言いは、7100万の意思を逆なでする。分断はトランプ氏が生んだのでなく、以前からあり、そこを掘り起こして、目を向け、見える化したのであり、むしろトランプ氏の功績なのだ。今や見えていて隠せないので、臭いモノに蓋は出来ないのだ。一つには決してなれない、多様性を認めて、尊重し、マネジメントする以外に混乱を鎮める方法はないのだ。

 この7100万人の意思を鎮め、混乱を避け、前向きかつ建設的な方向に向かわせるのは、バイデン氏では絶対にできない、唯一出来るのはトランプ氏だけだろう。

 トランプ氏に、その方向に向かわせるモチベーションを持ってもらう方法論は簡単ではない。家族などの説得も噂されているが、その様な次元ではないだろう。極めて自己犠牲を伴う政治的で、未来創造的で、ビジョンを持った説得が必要不可欠だ。

 私の緊急提案は、それが出来るのは、安倍前首相以外に、世界中見渡して他にいないのではないだろうか、ということだ。

 負けを認めさせるのではない。選挙では勝った、アメリカ国民の選択はトランプ氏であったことを認め、その上で、政争上の権力闘争、政争に敗れたと伝える。アメリカ国民の為、世界の為にトランプ氏の名を勇退として残して一旦退き、この問題構造を是正し正常化させることは、貴方しかできない役割だと説得できるのは、安倍前首相しかないだろう。

 アメリカの為、世界の為、そして日本の為に、緊急提言が政府に届くことを期待して止まない。

郵便投票のセキュリティ管理思考

 アメリカ大統領選挙の当確が出され、バイデン次期大統領への祝意が各国から発信され、敗北宣言をしないトランプ現大統領の往生際の悪さを非難する声一色に世の中は染まっている。両論あれば問題視しないが、日本のマスコミ、識者含めて、ほぼ一色であることが異様である。郵便投票やそのプロセスに対する疑問は実際にあるのだから、異論がないことが奇怪で仕方がない。

 客観的に、セキュリティ管理の常識の観点から言うと、今回の選挙における郵便投票は適切とは決して言えず、不正の有無に関わらず無効との主張に一定の論理性がある。
 とは言え、各国の国内法、この場合はアメリカの州法も含めた法制度において、問題なしと判断されたから実施されているのであり、国内法の理念が優先されるべきで、選挙結果は覆らないのも事実であろう。しかし、それは中国共産党1党支配による選出(選挙とは言わなくとも)を民主的手段での選出とは言わないが、他国から異論を挟めないことと同義であるに過ぎない。
 つまり、アメリカ国内の法的解釈問題であり、他国から口出しは出来ないが、客観的かつ民主的妥当性が担保されている事とは全く違う話なのだ。

 なのに、日本国内でも、郵便投票の全てをカウントすることが正義だと言う主張をそのまま民主主義の正義として伝え、不正の温床である郵便投票は無効だと言う主張は言いがかりで民主主義への冒涜だと、一方的に正義と悪を仕分けし決めつけている。これは決してフェアな構造ではない。

 誤解しないで頂きたいので繰り返すが、今回の大統領選挙の勝者は、民主党バイデン候補である。例え、フェアでない構造化での勝利であろうとも、結果としての勝利は覆らないだろう。それが権力闘争であり、アメリカの国家としての選択なのだからとやかく言わない。
 しかし、日本のマスコミ、識者が、トランプを悪、郵便投票も含めた手法が正しいかの様に伝えるのは、根本的に間違いである。

 日本としては、正確な分析をするべきで、真相は分からなくとも、正義の為に手段を択ばない国家の姿勢が示されていることを冷静に今後の判断の基礎にするべきなのだ。今の日本のマスコミ報道が偏向して、国民への正しい判断基準の情報提供を阻害しているのであれば、国民として今まで以上にメディアリテラシーを高める必要性がある。おかしいことにはおかしいと思い、自身で考え、調べる力が必要になってくる。

その観点で、本題の郵便投票のセキュリティ管理視点での考察を行う。

 まず、真っ先に断言すべきは、郵便投票の不正の証拠を示す必要があると言うのは、言いがかりである。不正が行えない、管理運用体制を説明する責任が運営側にあるのであり、疑義が挟まれたら、第三者監査含めた確認を受けてでも、正当性を示さねばならない。

 例えば、クレジットカードをスキミングされ、悪用されてしまった際に、利用者はスキミングされた事実の証拠を示し立証しなければ、不正を訴えられないと言っている様なものなのだ。そんな立証責任を求められたら、泣き寝入りするしかないだろう。
 この場合、ログとして残っている利用履歴、利用実態を確認し、不正の有無を確認するのは運用側の責任だ。運用側にデータがあり、それだけの情報を取り扱い、不正させないサービス環境を維持管理する責任があるからだ。

 選挙でも同様だ。本人確認の手順、不正として考えられる手段に対する防止策とその実施記録。郵便投票で言うならば、有権者登録から郵送した投票券が、戻ってきた際の真贋判定機能。受付から、集票までの処理の中で不正の入り込む隙間の無い運用手順とその運用実態、トレーサビリティログの開示。ここまでやっていれば大丈夫と言わせられるかどうかが一つの勝負だ。
また、郵便投票受付の有効期間延長や共和党の立ち合いをNGとした判断を下した事由と、その際に予め予測できる不正リスク指摘に対するリスク低減策の実施内容、判断の適正さ、等。

 郵便投票における不正防止が充分でなく、接戦において訴訟に発展するリスクは以前から予測されていた。にも関わらず、その点の対応策を講じておらず、強引に押し通している様にしか私には見えない。まさか、極一般的なセキュリティ管理の思考回路が存在しないとは思わないし、思いたくもない。
 繰り返すが、アメリカ国内的に押し通すのは口出ししない。しかし、日本の立場で、この状況で、トランプ氏が単に駄々をこねているだけでなく、ある意味正当な主張をしていることも理解しておく必要がある。その両面を伝えないマスコミは罪深いとしか言い様がない。

 その程度の正当性もなくして、7000万票以上の空前の得票を得ることなどあり得ないし、アメリカ国民はそんなバカではない。これが分断なら、分断と言う事実は多様性という意味で現実に存在していて、分断を認めリスペクトすることが重要だ。この分断には、時には厳しく、時には寛容に、是々非々で対応していくことで乗り越えていけるのだ。
 アメリカ的に言えば、選挙が終われば、一つになる、というのは幻想であり、多様性がある中での舵取りをするのが民主主義政権の責務だ。
 日本側からは、アメリカの多様性を正確に見極め、その判断基準などを分析し、その情報を国民に伝え、同盟国としての外交に活かせる様にすべきだろう。

トランプ絶体絶命の構造

 2日前に勝利宣言の原稿を投稿したが、翌朝から状況が一変した。ここに至って、木村太郎さんも、9分9厘トランプの負けを宣言したし、事実上敗戦は間違いないだろう。しかし、今回の大統領選挙の構造を仮説推論すると、見えてくるものがある。一部では今回の選挙を『機会の平等』と『結果の平等』の対決と称していたが、ある意味、バイデン勝利でアメリカは見た目の『結果の平等』を確立すべく、不都合な事実は見せない、知らせない、闇に葬る。正義の為には、採るべき手段は正当化される。まさに、中世ヨーロッパの様な世界観に突き進む危険性すら感じる。

 断っておくが、私自身はトランプ支持者では決してない。彼の出鱈目な物言い、乱暴な言動など決して支持は出来ない。しかし、客観的に見て今回の選挙はとてもフェアとは思えないものだった。郵便投票をトランプは不正の温床と言い続けたが、マスコミは往生際の悪さや、民主主義に従わない品性を非難し続けている。

 私のビジネス経験上からはっきり申し上げる、他国の選挙制度だから非難は出来ないが、日本であれば絶対にこの様な郵便投票は採用できない。それはセキュリティ管理上、公正を保つことが不可能だからだ。トランプが不正と言っているのは、実は極めてまともな発言であり、もし日本で同様の郵便投票が法案として出てくれば、不正の温床と叩きまくられるのは間違いないのだ。詳細までは記さないが、あの方法なら、何とでも票を操作することが可能である。いくらでも不正の方法は思いつくのだ。

 前日まで70万票リードして、残り未開票が100万票だったのに、夜が明けると、差は60万票に縮まり、未開票が140万票に増えた。つまり50万票どこかから増えたのだ。そして、結果逆転となった。
 投票数を見ても、トランプは大方のマスコミの予想、世論調査を覆し、歴代最上位にランクされる程の得票を得た。しかし、郵便投票でバイデンが後から上回った。
 負けていれば、どこまでも後から票を積み増せる様に見える。最終的に投票率が100%超えない限り問題にはならないだろう。

 それでも、郵便投票を公正な1票として、民主主義に従えと非難される。事実は、郵便投票では公平な民主主義が維持できないのだが。これは公平では決してない。
 不正の根拠、証拠を示せとトランプは非難される。しかし、その論理は、騙しとおせたら何をやっても正義だと言っているに等しい。不正の証拠が示せ、発覚するのは、氷山の一角でしかないのだから。これだけ穴だらけの精度であれば、1票の正当性を示す責任があると考える方が真っ当なのだ。

 トランプがアメリカ社会の分断を生み出した様に言われるが、実は、分断している実態を見える化しただけであり、既に分断はあり、隠蔽されていた様に見える。そして、いわゆるフェイクニュースが不都合な真実を隠し、不都合な異端児を攻撃する構造に見えて仕方がない。その結果、分断が無くなってしまうと、『統制された結果の平等』の完成である。それは、決して望む形ではないはずだ。

 今回の大統領選挙の構造を『トランプvs反トランプ』と2日前に称したが、『トランプvs反トランプ+マスコミ(情報)』という構造が垣間見えるのだ。

 トランプが勝利宣言をしたとマスコミは叩きまくったが、その前にバイデンが同様の宣言をしているが批判は皆無。バイデンの宣言は、勝利を宣言しつつ、最後の1票が開くまで敗北宣言しないと言っている。これも、負けている立場で、ある意味往生際が悪い姿勢だが、非難されず、逆転されたトランプは往生際が悪いと責められる。

 確かにトランプは非難を受ける言動が多いし、子供じみた発言もある。しかし、今回の選挙に関しては、同情を禁じ得ない。反トランプが完全正義として情報が統制されている。むしろ、論理的に真っ当なことを言っているのはトランプに見えるが、勝てば官軍、負ければ賊軍でしかない。

 今回の大統領選挙は勝負あったとすると、マスコミという反政府勢力が勝ったことになるが、これまでのアメリカは政権交代があろうとも政策の継続性があったが、今回はどうだろう。

 そして、日本も他人事ではいられない。今回の大統領選挙の日本における報道は、アメリカとほぼ同じ調子で行われている。つまり同じ構造である。であるならば、情報を鵜呑みにできない状態であり、素のデータから個々に分析し読み取っていく力がなければ、生き抜けない世の中だと認識しなければならないだろう。

トランプ大統領事実上の勝利宣言

 アメリカ大統領選挙の投票が行われ、早々にトランプ大統領による事実上の勝利宣言が為された。まだ確定できていない激戦州で郵便投票の開票がまだなので逆転もあり得ると多くのマスコミは未だに言い続けており、多くの識者もこの時点での敗北宣言の無い事実上の勝利宣言を発したトランプ大統領にフライングだとの批判を集中している。しかし、バイデン候補もほぼ同様の勝利宣言まがいの発信を先にしているのだが、そちらの批判は聞こえてこない。

 当初予想では当日開票で少しのリードをしたトランプ大統領が、郵便投票で逆転される接戦状態で、なりふり構わず郵便投票の開票停止を求める訴訟を起こすなどの対応が予測されていたが、実際は大きく異なり郵便投票完全開票を残した状態ではあるが、ほぼ逆転不可能なレベルの大差を付けているのが実態だろう。
 多くのマスコミは、大差の事実を受け入れることが出来ず、勝利宣言をしたトランプ大統領に対する批判に終始している。このこと自体が問題を露呈していることに一体どれだけの人が気付いているだろうか。私の知る限り、木村太郎さんぐらいだろうか。冷静にこの状況を予測し、現時点でのトランプ勝利を確信していたのも同氏である。(実は私も同様の予測であった)

 今回のアメリカ大統領選挙は、『トランプvs反トランプ』の構造であった。決して『トランプvsバイデン』ではなかったのである。民主党の代表がバイデンになった瞬間、私は、民主党は勝つ気がないのか、と疑った。そして、選挙戦を戦う内に、その構造が『トランプ+反バイデンvs反トランプ』に変異してきた。最後まで、バイデン推しはなかった。その証拠がレディー・ガガの最後の応援演説にも現れており、反トランプしか言っていない。この時点で、接戦だろうが、トランプ大統領優勢に動いていたのが現実だろう。
 そして、バイデンの目指す国家像、ビジョン、夢が押し出されない状態で政策論争もなく大統領になったらアメリカ国民は不幸だろうし、流石にその点は見透かされ、反バイデンが発生したのだろう。その時点で、勝負あった、トランプ大統領の勝利が決まったようなものだ。

 4年前のトランプ大統領勝利の際も、今回も、マスコミの多くは『隠れトランプ支持』を理由にしていたが、私は事実と反すると考えている。トランプ大統領が良く使う『フェイクニュース』が全てと考えている。支持率調査や、世論調査など、調査する分母を恣意的に選択し、アンケートの聞き方を工夫するだけで、簡単に事実と異なるデータに見せかけることが可能だ。アメリカの主要マスコミ(FOXを除く)の多くはリベラル系に偏向しており、報道内容を鵜呑みにできないのが実態であり、それを『フェイクニュース』と非難していたのである。速すぎる勝利宣言でも、バイデンは批判されず、トランプ大統領だけが批判されるのもその表れである。
 断言しよう、隠れトランプによる逆転などではなく、トランプvs反トランプの構造でトランプ支持が上回り、そこに反バイデンが加わって想定外の大差が付いたと見るべきだ。

 日本のマスコミも多くはリベラル系に偏向しており、この事実は絶対に認めないだろう。だからこそ、木村太郎さんの発言が貴重なのだ。しかし、トランプ大統領が露わにしたフェイクニュースの構造を認めない限り国民の目線は騙せなくなっていることも認識しなければこの先存在価値が無くなってくるだろう。

 マスコミの使命として『政権の監視』との時代錯誤の認識を持つ限り、保守ではなくリベラルに傾向するのだろう。しかし、民主主義を確立させ定着させていく過程ではそうかもしれないが、既に成熟した民主主義の時代において、マスコミの最大の役割は『事実を事実のまま客観的に伝える』であるはずだ。その先の判断は国民の判断なのである。もちろん、事実を伝えた上で、マスコミ各社の独自の見解として伝えることは良いが、事実の歪曲や操作は、例え政権監視の大義名分あっても許されるべきではない。

 そして、その批判構造に乗って、独自のビジョンなく、批判に終始する政治勢力は淘汰される。マスコミが偏向しようとも、判断が出来る国民に成熟しつつある状況下での批判勢力への裁定を下すだろう。今回の大統領選挙がそうであり、日本でも国民民主が袂を分けて一旦勢力を落としても、次回以降の選挙で維新と共に勢力を拡大し、健全な選択肢を国民に提供してくれる勢力に成長するだろう。その縮図が示された歴史的な1日であった。

内村選手偽陽性事案検証~『ファクターXの正体』緊急報告~

 拙著『ファクターXの正体』をお読み頂ければ、小生が指摘する問題性はご理解いただけるとは思うが、その典型的な事例がまた発生してしまった。体操の内村選手に対するPCR検査での偽陽性判定事案である。PCR検査で陽性判定を受け隔離処置が施されたが、あまりにも身に覚えがなく症状も全くない為、翌日に3か所での再検査を受け、偽陽性であったと結論された。

 偽陽性と結論される前、本大会の日本の参加辞退の可能性やオリンピックでの感染防止策は難しいと、危機感を煽っていた。それこそ、何万人に最低でも3日に1回、徹底検査をしなければならないと。そんなことをすれば、単純に被害者は膨大に膨れ上がることになるのが誰の目からも明らかなのだが、その後無責任な発言をした反省もなく、識者やマスコミは反省もなく報道もしていない。

 この件は、間違いなく、個人の活動・行動に対する不正制限事故であり、人権侵害問題である。表向きは事なきを得た様に、マスコミでは多くを語ってはいないが、数日間の隔離生活を強いられたことは、大切な大会直前のコンディションを整え、調子を上げていくピーキングが重要な時期に行動制限されることが、どれだけアスリートの成績に影響を及ぼすか、想像に難くない。アスリートにとって、その先の人生に及ぼす重大問題なのである。この様な事案が繰り返されると、多くの被害者が発生し、同時に多くの訴訟事案が発生してしまうだろう。

 なんとか、少しでも理解を広め、この様な事象を回避できることを願って止まない。

 さて、PCR検査の仕組みからおさらいしよう。明確にしておかなければならないのは、検査には誤差、誤判定が付きまとうことである。一部の識者、マスコミでは、PCR検査の精度が高く、誤差など無視できると言い続けているが、仕組みを考えれば、あり得ないことは明白なのである。

 採取した検体の中に微量でも存在する当該のウィルスを増幅する処理を複数サイクル繰り返し検出可能量まで増幅する。増幅されたウィルスの量が、ある閾値を超えると陽性、超えないと陰性という判定が為されるのが、PCR検査である。
 上述のことから常識的に考えて欲しい、増幅させるサイクル数によってウィルス量が増減することは自明なのだが、現在の検査は必要以上に増幅サイクルを増やしている。つまり出来るだけ陽性判定を多くするための検査設定なのである。今の検査方式では、感染などしていない、接触して存在しているだけのウィルスも同様に検出する。当然ながら、不活性化したウィルスであろうがお構いなしに増幅され検出されるのだ。

 そして、閾値を超えるか否かでの判定と言う、極めてアナログ的な判定であることも注意する必要がある。閾値を高く設定すれば、偽陽性は減少するかもしれないが、偽陰性が増加する。閾値を低く設定すればその逆である。
増幅処理で誤差が発生しないことはあり得ない。化学処理で反応に個体差が出ることは当たり前であろう。そして、増幅された結果、閾値近辺のウィルス量が検出された場合はどうなるのだろうか。陰性か陽性か、そんな簡単かつ明確に判定出来るはずが無いのである。

PCR検査の特性を整理すると
1. 検体を増幅処理した結果のウィルス量が閾値を超えたか否かの判定しかできない
2. 検出されたウィルスが不活性であっても活性ウィルスと区別は出来ない
3. 検出されたウィルスが感染したものか単に存在しているだけかを区別できない
4. 増幅サイクルにより検出するウィルス量は大きく変化しうる

 従って、個々人の人生に大きく影響を与えうる行動の許認可判定に、PCR検査の結果を利用するなど、本来はあり得ないのである。

 ここまで記述したのは偽陽性に関する問題点だが、偽陰性に関する問題は更に深刻なのである。多くの人、マスコミの報道も伝えているのが、PCR検査をして、陰性判定を受けた人が安心して経済を回す、或いは、GoToで旅行に行く、と考えられている。極めて危険な思考なのである。
 前述した様に、PCR検査結果が絶対でないだけではなく、感染の有無を示せるものでもないのだ。つまり、陰性と判定されても、非感染の証明にはならない。
 偽陰性は一定の確率で発生する。この確率は、偽陽性よりも遥かに高く、一般的には感染者の内30%もの人が間違って陰性と判定されるのである。

 詳細の統計的分析は拙著『ファクターXの正体』をご確認頂きたいが、この確率で偽陰性が発生し、間違った安心を与えてしまうと、検査をすればする程、感染は拡大する。先進諸国の感染爆発は、このカラクリで発生しており、日本の感染が桁違いに少ないのは、検査を医師が必要と判断した感染を疑う患者に限定されているからである。逆に言うと、先進諸国並みに積極的検査拡大を行うと、同様の爆発的感染につながる危険性が高いのである。

 ならば、何故先進諸国は積極的検査を推奨するのか、アジア諸国など感染が比較的抑え込まれている要因は何なのだろうか。ここでは詳しくは説明しないが、先進諸国の文化的、宗教的背景を考慮する必要があり、結局検査云々ではなく、非民主的な隔離政策が打てれば物理的に抑え込むことは出来るだけなのだ。日本は、文化的にも、民主国家としても同様に考える訳にはいかないのだ。

 従って、PCR検査を実施できるケースとして

1. 医師が他の臨床診断、検査結果と合わせて必要と判断した場合、確定診断として実施する
2. クラスター等、感染が疑われる人を対象に感染経路追跡のために実施する
3. ビジネス等で海外取引上、他国の要請に基づいた検査は実施を容認するが、陰性結果であっても非感染を証明するものではないことを理解した行動を誓約させると同時に陽性判定の結果被る損害も一切関知しないことの了承を受けて実施する

 こういうことを言うと、では無症状の感染者は野放しでいいのか、という反論が予想される。しかし、その通り、野放しで良いのである。
 その理由は、無症状の感染者による感染リスクは、確かにゼロではないが、確率的に極めて低くなるからである。無症状者でありながら他人に感染させるのは、発症の3日前から徐々にリスクが高まるのであり、それ以外は全て有症状者からの感染なのである。それは、ウィルス量が少ない場合や、多くても不活性の場合は他人に感染させないからだ。つまり、無症状の感染者と一般的に呼ばれている人達の大多数が、ウィルス量が少なく発症していない人や不活性ウィルスを保持していただけの人なのである。

 最後に、もうひとつ。PCR検査結果として、毎日、『今日の新規感染者数』と報道されているが、これは全くの誤報道なのである。正確には、『本日の陽性判定された検査検体数』であり、この場合の陽性判定とは、『増幅されたウィルス量が予め設定した閾値を超えた場合』なのである。感染とは全く関係ない。

詳しくは拙著をご一読頂ければ幸いです。

『ファクターXの正体;新型コロナウィルス感染症の日本における感染実態』
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『ファクターXの正体Ⅱ;VOL1-PCR検査の実態』
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