不要不急の外出は感染拡大どころか国民の健康促進に繋がる

一般的にインフルエンザや風邪など上気道感染症は春から夏にかけて、感染は下火になる。しかし、新型コロナは、小さいとはいえ一定の感染拡大が発生した。この事実に対して論考、夏にも感染拡大が発生した要因の仮説検証する医療系専門家は、私の知る限り多くない。説明できない事から逃げて、それ程感染力が強いと言わんばかりで、何でも危機感を煽る方向にもっていく。とても科学者のスタンスとは思えないのだ。

発生する事象には必ず原因がある。複合要因もあり、単純化は困難な場合が多いのも事実だが、しかし、追及の考察は可能であり、そういった一つ一つの仮説と検証が、一歩ずつ事実に近づく唯一の道なのだ。医療分野は素人である筆者だが、理学部卒業後、企業でも様々な科学実験と開発、統計的手法も駆使してきた知見を以って、一つの仮説を提唱する。

その仮説とは、紫外線量の強まる春先、特にゴールデンウィークの期間、国民の多くが巣ごもりを行うことで、例年と比較して日光を浴びなかった為ではないだろうか、というものだ。

日光浴の効果として、様々あるが、その中でもビタミンDの体内での合成がある。このビタミンDは免疫力調整機能があり、実際にインフルエンザや風邪などの予防効果があるのだ。冬季に風邪が流行るのは、低温・低湿度によるウイルスの活性化が主に言われているが、紫外線量低下によるビタミンDの体内濃度の低下で免疫力が低下する事も一因と言えるのだ。

従って、折角紫外線量が多くなり、ビタミンD合成が増やせる時期に、巣ごもりをしたと云うのは大きな痛手であったのは間違いないと考えられる。

つまり、日中の外出は不要不急でなく、人間の健康に必要不可欠な行為である事が示されたのだ。

<人流を抑えても感染は収まらない>

もう一つ、常識として語られている非科学的な説が、人の行動が感染拡大に繋がるという事だ。ある条件下での行動が感染拡大に繋がることは事実だが、感染蔓延状況、ウイルス常在環境においては、それは当たらないのだ。

ある条件とは、非感染地区と感染地区が明確に区分できている状態、隔離されている状態を示す。その状態で、感染地区と非感染地区を人が移動すれば、当然のことながらウイルスも持ち込まれて感染が拡大する。

しかし、感染地区内での人の移動に関してはどうだろう。地区内での行動を一切禁じれば、感染拡大は無くなるだろう。それは感染地区を最小区分である個人単位とする強制隔離に他ならないからだ。それが出来ない自由主義国家においては、感染地区内での行動は一定量発生し、その時点で、感染地区内のウイルスの濃度は均一になっていく。

では、ウイルス濃度の異なる地域を跨ぐ行動の場合はどうだろう。濃度の低い地域は、行動により濃度が高まる可能性はあるだろうが、同時に元々高い地域の濃度は低下するのだ。地域を跨ごうが跨ぐまいが、ミクロで1人の感染者が発出するウイルスが同量だとすると、全国をマクロ的に見た場合濃度は等しくなる。寧ろ、全体的の濃度を薄めた方がリスク対応はやり易く、一部に集中するよりも、日本の皆保険制度、地域に根差した医療の力の発揮しどころのはずだ。

従って、GoToトラベルで人の移動を活発化させ様とも、一定の感染抑止行動さえ実行できておれば、感染拡大の要因とならなかったのは当然なのだ。2回目の緊急事態宣言時の時短要請も、対策が甘く、これでは収束しないとメディアに出演する専門家は猛攻撃していたが、実際は予想を上回る感染減少を示している。人流と感染拡大に因果関係は無い事が証明された。

<新型コロナ騒動で国民の健康促進が図れた皮肉と課題>

未だに、『徹底検査がゼロ化に繋がる』『人の行動が感染拡大に繋がる』と強弁し続け、サイレントマジョリティを騙し、世論を形成し、政府の政策決定にも一定の悪しき影響を及ぼしている。非科学的、非論理的な強弁は、『そうに決まっている』と断定し反論を許さない主張を繰り返し、反論にも『あり得ない』と馬鹿にして無視する事で民主的な議論すら封殺しようとしている。

しかし、実際に起こっている事象は、これらの説とは全く異なっている事は示した。

風邪は万病の元。インフルエンザは既往者や高齢者にはリスクが高い。これらは、新型コロナも同じである。違うのは、発生する症状や後遺症、メカニズムとして未だ解明されていない部分であり、この事は唯一、リスクと考えるべきだろう。しかし、風邪だって全て解明されているとは言えないのが現実で、安易に町医者で風邪だね!と言われるのは、症状だけの判断で、原因不明の場合も実際にあるので過剰反応も適切とは言えない。

言うまでもなく、国家として国民の健康は永遠の課題だ。今回の感染騒動で、日本では、肺炎死者、超過死亡など総数としては減少し、実は健康増進されたとも言える。理由は想定できる

  1. 風邪気味(或いは風邪患者)の人の外出自重風土が生まれ、人に移すリスクが減少した
  2. 不要不急の病院受診を控える事により過剰な医療が制限された

この2点に尽きるのではないだろうか。この事は、今後も継続するべき事項だ。加えて、人流は抑えるのではなく、適切な外出による活動を促し、個々人の免疫力強化促進する事で、更に良くなるだろう。

そして、残存する課題は、新たな新型コロナの後遺症含めた症状のメカニズムを解明し、治療方法を開発することだけではないだろうか。インフルエンザのリレンザやタミフルに相当する薬の開発が出来れば全く問題なくなるだろう。