大阪市咲州メガソーラー入札に関しての考察

時の人橋下徹氏が自身のYouTube番組newsBAR橋下2022/05/07にて、北村弁護士をゲストに、咲州メガソーラー開発事業に上海電力が入札で参入し、WTOルールで事業者の排除は出来ないと強弁を振るった。

これは、中国の国営企業と言っても過言でない同社が、この大阪での事業参入を皮切りに日本各地での同様の事業に参入し、エネルギー安全保障上の問題を指摘される状態に陥っている現実に対して、それを誘導したと疑惑が当時大阪市長である橋下徹氏に向けられ、説明責任を果たすべきだと北村弁護士が指摘したことに対するものだ。

説明は簡単に言うと、入札だから排除できない。WTOルールを知っているのかと無知を論う内容だった。

しかし、上海電力は入札によって事業参画した訳では無いのが事実なのだ。

<咲州メガソーラー関連入札とは>

本事案の入札で確認できるのは、咲州メガソーラーの発電用地の不動産賃借契約であり、その条件付き一般競争入札だけなのだ。それには伸和工業と日光エナジー開発の日本企業2社が落札している。550,001円/月で落札し、その10日後に伸和工業が合同会社咲洲メガソーラー大阪ひかりの泉プロジェクトを設立、この合同会社に出資の形で上海電力が実質的事業者になったのだ。

落札後、僅か10日間で会社設立、出資というのは事前準備が無ければ不可能だろう。つまり、実態を隠しての入札参加スキームの出来上がりなのだ。

入札されたのは不動産賃借契約だけであり、その地での開発事業、電力事業に関しては入札でも何でもないのが事実である。つまり、上海電力を参入させるスキーム自体は入札案件ではなく、橋下氏が主張するWTOルールなど全く関係ない。いやむしろ行政が関与しない野放しでの決定なのか、或いは、予め指定していた事業者を隠して誘致した疑いが生じているのだ。

上海電力のホームぺージに記載されている『この事業は大阪市により招致いただいた』というくだりを疑う向きもあるが、想像するにこれは翻訳ミスで、正確に意訳すると『この事業は大阪市の入札により参入した』としていいだろう。

従って、『招致』を行政が指名した様に解釈するのは間違いだろうが、発電事業は『入札』も実施されておらず、この説明は虚偽と言っても過言ではないのは間違いないだろう。

<山口敬之氏による公開質問>

ジャーナリストの山口敬之氏はこの疑いに対して、当時の大阪市長である橋下徹氏に公開質問をYouTubeにて実施した。以下がその質問内容である。

1.上海電力の参入が入札というなら、入札日時とその内容を明確にせよ

2.上海電力を発電事業に招致したのは大阪市の誰で、どのように招致したか

3.2013/9~2014/3の間、上海電力関係者に何回面会したか、その場で咲州電力開発事業の話をしたか

1.に関しては、入札であり事業者として拒絶できないとする橋下氏の論理が正当ならば、入札実施の事実関係を明らかにせよという事であり、事実入札していないだろうから、橋下氏の虚偽説明が明らかになるだろう。

2.『招致』という言葉が額面通りであればその実態を明確にできれば一大疑獄に発展するだろうし、もし『入札』が正しいと解釈するならば、①の質問と重なり、表立った入札には姿を見せない『ステルス入札(山口氏造語)』が疑われる。

3.実際に上海電力関係者とのつながりがあれば便宜を図り、全国展開のきっかけを作りスキームを完成させた一大疑獄になるだろう。

しかし注意しなければならないのは、違法性があるのかだろう。例え便宜を図ったとしても、金の流れがなければ疑獄には発展できない。入札案件でなく、事業者排除の論理も働かせられないと言う強弁も通るかもしれない。

これは当人の説明などは期待できないだろう。なぜなら表向き違法性が無いと言う強弁が通るだろうからだ。捜査で立件でもしない限りだ。

但し、北村弁護士とのやり取りでの、入札だから問題無いと言うのは現時点で虚偽説明であり、WTOルールを持ち出して煙に巻く方法も批判されて然るべきだろう。そして違法性が無くとも同義的に問うこともあるだろうが、その場合は当人と言うよりも、同氏を出演させる放送局、スポンサーが考えるべきだろうし、視聴者として局へ意見発信するべきだろう。

<もう一つの視点、エネルギー安全保障の観点>

橋下氏の言い逃れの強弁はどこまで行ってもその場の強弁に終始し、過去とのつながりのない矛盾だらけで実りの無い議論にもならない喧嘩にしかならないだろう。

しかし日本の国家として、エネルギー安全保障の観点で現在発生している状態をどの様に考え、どう対策を講じるかは、建設的な別議論が必要だ。それこそ当時の責任論は検察の捜査にでも任すとして、今目の前にある事実は目を背けられないからだ。

エネルギー自給自足の問題、有事の際に、敵国に我が国のエネルギーの喉元を抑えられた状態をどう考えるかだ。

特に維新は、参議院選挙に向けて、この点を明確に有権者に政策として示すべきではないだろうか。行政の不作為であろうと、陰ながらスキーム構築し実質的に誘致したのであろうとも、きっかけを作った大阪の責任政党として、このままメガソーラー事業を野放しして良いのか、野放し出来ないなら、どの様な法案、制度改正でこのリスクと向き合うのか、国政レベルの公約にするべきだろう。

筆者としては、国益観点で見れば、例え賠償金が発生するとしても、それは損切りしてでも契約破棄し、国内事業者に移管するべきではないだろうかと考える。

こういう事を一つ一つ、鉈を振るって行かない限り、経済安全保障、エネルギー安全保障等遠い夢の話に終わるだろう。

K値による感染ピークアウト宣言

 今日は、両極端な発表が為されている。

 吉村大阪府知事は事実上の緊急事態宣言を発出。しかし、地元大阪大学を中心とする『K値』推奨チームが、第三波の感染拡大は既にピークアウトしたと報告した。

 春の緊急事態宣言時、発出時点で既に感染はピークアウトしていた、従って、緊急事態宣言は何の意味もなかったと、『K値』での分析が示し、元大阪府知事橋下氏も問題提起していた。その総括、反省が必要と提言しながら、今回の吉村知事の宣言発出に橋下氏はどうコメントするのだろう。

 第三波の感染ピーク時期や収束などの予測を過去のデータから分析した結果を、11月23日に出稿した記事『新型コロナを正しく恐れよ』に示させて頂いた。そこでは、感染のピークは、12月初旬から中旬にピークと予測している。その想定の元、直近では丹念にK値ならぬT値を確認して、そろそろピーク、上げ止まり傾向が出てきていると読み取っていたが、K値推奨グループが先んじてピークアウトを宣言したのだ。

感染推移

 まずは、新規感染数の推移グラフを見て頂きたい。毎日、過去最高、曜日としては最高、等とメディアは危機を煽り続けているが、現実は上げ止まり状態にある。もちろん、減少している訳ではないが、明らかに上昇度合いは鈍っている。このことは数字を冷静に見れば疑い様がない。

K値

 次に、『K値』の推移をご覧頂きたい。確かに、曲線のトレンドが変わる変化点が発生している。この変化点を読み取れば、ピークアウトを迎えたと言えるのである。

T値

 次に、私の推奨するT値を示す。T値の詳細に関しては、拙著『ファクターXの正体』にて説明させて頂いているので、興味のある方はご覧いただければと思うが、同じく変化点の発生が確認できているが、本当の意味での下降トレンドに向かう臨界点である『1』よりはまだ若干上にあるので、様子を見ていたのが実態だった。

 確かに、この先別要因で再増加、という可能性がゼロとは言えないが、あくまで統計的にデータを読み取ればピークアウトを迎えトレンドが変化する状況にあることは、否定出来ないのである。

 私自身は、今週いっぱいから来週頭ぐらいの傾向を見て、と安全を見て、考えていたところ、K値グループがピークアウト宣言を先んじて発表した様だ。流石だ。今の状況で、なかなか勇気のある発表ではあるが、この発表の方が、多くの危機感を煽る根拠不明の情報よりも百倍信頼できる情報であり、科学的、統計的根拠があることを認識してもらいたい。

 そうすると、私の当初の予測は良い意味で若干外れた。それは、想定よりもピークアウトが若干早かったという事と、ピークの高さが想定よりかなり低く済んだという事だ。

 この先も、メディアや専門家は、まだいつ上がり始めるか分からない、増加していないとは言えない、など、数字を見ないで、根拠不明の話が今まで同様拡散されるだろうが、落ち着くべきだ。それらの声に動揺しなければ、マスコミはいずれ発言を控える様になる。国民の多数が冷静になれば視聴率の取れない扇動は出来なくなるからだ。

 そして、いい加減に気付いて欲しいのが、行動制限と感染の増減に何ら因果関係がないと言う事実に。専門家は、専門家故の常識に絡み取られ、どんなデータや事実が突き付けられても、とは言ってもと言って常識に縛られる。人の行動がウィルスを拡散させるのは常識かもしれないが、新型コロナは自然に広まり、自然に収束していく。まるで、旧型コロナウィルスが常在している様に、新型コロナも常在していて、自然条件や人の体調で感染周期を自然発生的に繰り返す。そんな傾向に見えて仕方がない。

 一部でGoToとの因果関係を示すエビデンスがないのは、データを取っていないからだという言いがかりも聞こえてくる。しかし、統計データとは、マクロなデータであり、マクロデータなら日々積み重ねたデータが存在する。だから第3波がピークアウトしたという分析も可能になるのだ。

 そうこうしているうちに、専門家の意地だろうか、自分たちの常識を裏付けるためのデータを出してきた。それは、若者の移動が多く、そして若者の移動が感染拡大に繋がっているというデータだ。しかし、少し冷静に見て欲しい。分母と分子を見て、年齢別の割合を正確に計算したわけではないが、有意差がある様には見えないのである。印象操作的に語って、統計的には語れていない様に見える。更に、あくまでミクロ視点のデータに過ぎず、ミクロ視点では数々の反証データも存在するので、一部のつまみ食いで語るべきではなく、マクロ的に移動と感染に相関関係が無い事実を覆せるものではない。