アメリカ大統領選挙の投票が行われ、早々にトランプ大統領による事実上の勝利宣言が為された。まだ確定できていない激戦州で郵便投票の開票がまだなので逆転もあり得ると多くのマスコミは未だに言い続けており、多くの識者もこの時点での敗北宣言の無い事実上の勝利宣言を発したトランプ大統領にフライングだとの批判を集中している。しかし、バイデン候補もほぼ同様の勝利宣言まがいの発信を先にしているのだが、そちらの批判は聞こえてこない。
当初予想では当日開票で少しのリードをしたトランプ大統領が、郵便投票で逆転される接戦状態で、なりふり構わず郵便投票の開票停止を求める訴訟を起こすなどの対応が予測されていたが、実際は大きく異なり郵便投票完全開票を残した状態ではあるが、ほぼ逆転不可能なレベルの大差を付けているのが実態だろう。
多くのマスコミは、大差の事実を受け入れることが出来ず、勝利宣言をしたトランプ大統領に対する批判に終始している。このこと自体が問題を露呈していることに一体どれだけの人が気付いているだろうか。私の知る限り、木村太郎さんぐらいだろうか。冷静にこの状況を予測し、現時点でのトランプ勝利を確信していたのも同氏である。(実は私も同様の予測であった)
今回のアメリカ大統領選挙は、『トランプvs反トランプ』の構造であった。決して『トランプvsバイデン』ではなかったのである。民主党の代表がバイデンになった瞬間、私は、民主党は勝つ気がないのか、と疑った。そして、選挙戦を戦う内に、その構造が『トランプ+反バイデンvs反トランプ』に変異してきた。最後まで、バイデン推しはなかった。その証拠がレディー・ガガの最後の応援演説にも現れており、反トランプしか言っていない。この時点で、接戦だろうが、トランプ大統領優勢に動いていたのが現実だろう。
そして、バイデンの目指す国家像、ビジョン、夢が押し出されない状態で政策論争もなく大統領になったらアメリカ国民は不幸だろうし、流石にその点は見透かされ、反バイデンが発生したのだろう。その時点で、勝負あった、トランプ大統領の勝利が決まったようなものだ。
4年前のトランプ大統領勝利の際も、今回も、マスコミの多くは『隠れトランプ支持』を理由にしていたが、私は事実と反すると考えている。トランプ大統領が良く使う『フェイクニュース』が全てと考えている。支持率調査や、世論調査など、調査する分母を恣意的に選択し、アンケートの聞き方を工夫するだけで、簡単に事実と異なるデータに見せかけることが可能だ。アメリカの主要マスコミ(FOXを除く)の多くはリベラル系に偏向しており、報道内容を鵜呑みにできないのが実態であり、それを『フェイクニュース』と非難していたのである。速すぎる勝利宣言でも、バイデンは批判されず、トランプ大統領だけが批判されるのもその表れである。
断言しよう、隠れトランプによる逆転などではなく、トランプvs反トランプの構造でトランプ支持が上回り、そこに反バイデンが加わって想定外の大差が付いたと見るべきだ。
日本のマスコミも多くはリベラル系に偏向しており、この事実は絶対に認めないだろう。だからこそ、木村太郎さんの発言が貴重なのだ。しかし、トランプ大統領が露わにしたフェイクニュースの構造を認めない限り国民の目線は騙せなくなっていることも認識しなければこの先存在価値が無くなってくるだろう。
マスコミの使命として『政権の監視』との時代錯誤の認識を持つ限り、保守ではなくリベラルに傾向するのだろう。しかし、民主主義を確立させ定着させていく過程ではそうかもしれないが、既に成熟した民主主義の時代において、マスコミの最大の役割は『事実を事実のまま客観的に伝える』であるはずだ。その先の判断は国民の判断なのである。もちろん、事実を伝えた上で、マスコミ各社の独自の見解として伝えることは良いが、事実の歪曲や操作は、例え政権監視の大義名分あっても許されるべきではない。
そして、その批判構造に乗って、独自のビジョンなく、批判に終始する政治勢力は淘汰される。マスコミが偏向しようとも、判断が出来る国民に成熟しつつある状況下での批判勢力への裁定を下すだろう。今回の大統領選挙がそうであり、日本でも国民民主が袂を分けて一旦勢力を落としても、次回以降の選挙で維新と共に勢力を拡大し、健全な選択肢を国民に提供してくれる勢力に成長するだろう。その縮図が示された歴史的な1日であった。