トランプ絶体絶命の構造

 2日前に勝利宣言の原稿を投稿したが、翌朝から状況が一変した。ここに至って、木村太郎さんも、9分9厘トランプの負けを宣言したし、事実上敗戦は間違いないだろう。しかし、今回の大統領選挙の構造を仮説推論すると、見えてくるものがある。一部では今回の選挙を『機会の平等』と『結果の平等』の対決と称していたが、ある意味、バイデン勝利でアメリカは見た目の『結果の平等』を確立すべく、不都合な事実は見せない、知らせない、闇に葬る。正義の為には、採るべき手段は正当化される。まさに、中世ヨーロッパの様な世界観に突き進む危険性すら感じる。

 断っておくが、私自身はトランプ支持者では決してない。彼の出鱈目な物言い、乱暴な言動など決して支持は出来ない。しかし、客観的に見て今回の選挙はとてもフェアとは思えないものだった。郵便投票をトランプは不正の温床と言い続けたが、マスコミは往生際の悪さや、民主主義に従わない品性を非難し続けている。

 私のビジネス経験上からはっきり申し上げる、他国の選挙制度だから非難は出来ないが、日本であれば絶対にこの様な郵便投票は採用できない。それはセキュリティ管理上、公正を保つことが不可能だからだ。トランプが不正と言っているのは、実は極めてまともな発言であり、もし日本で同様の郵便投票が法案として出てくれば、不正の温床と叩きまくられるのは間違いないのだ。詳細までは記さないが、あの方法なら、何とでも票を操作することが可能である。いくらでも不正の方法は思いつくのだ。

 前日まで70万票リードして、残り未開票が100万票だったのに、夜が明けると、差は60万票に縮まり、未開票が140万票に増えた。つまり50万票どこかから増えたのだ。そして、結果逆転となった。
 投票数を見ても、トランプは大方のマスコミの予想、世論調査を覆し、歴代最上位にランクされる程の得票を得た。しかし、郵便投票でバイデンが後から上回った。
 負けていれば、どこまでも後から票を積み増せる様に見える。最終的に投票率が100%超えない限り問題にはならないだろう。

 それでも、郵便投票を公正な1票として、民主主義に従えと非難される。事実は、郵便投票では公平な民主主義が維持できないのだが。これは公平では決してない。
 不正の根拠、証拠を示せとトランプは非難される。しかし、その論理は、騙しとおせたら何をやっても正義だと言っているに等しい。不正の証拠が示せ、発覚するのは、氷山の一角でしかないのだから。これだけ穴だらけの精度であれば、1票の正当性を示す責任があると考える方が真っ当なのだ。

 トランプがアメリカ社会の分断を生み出した様に言われるが、実は、分断している実態を見える化しただけであり、既に分断はあり、隠蔽されていた様に見える。そして、いわゆるフェイクニュースが不都合な真実を隠し、不都合な異端児を攻撃する構造に見えて仕方がない。その結果、分断が無くなってしまうと、『統制された結果の平等』の完成である。それは、決して望む形ではないはずだ。

 今回の大統領選挙の構造を『トランプvs反トランプ』と2日前に称したが、『トランプvs反トランプ+マスコミ(情報)』という構造が垣間見えるのだ。

 トランプが勝利宣言をしたとマスコミは叩きまくったが、その前にバイデンが同様の宣言をしているが批判は皆無。バイデンの宣言は、勝利を宣言しつつ、最後の1票が開くまで敗北宣言しないと言っている。これも、負けている立場で、ある意味往生際が悪い姿勢だが、非難されず、逆転されたトランプは往生際が悪いと責められる。

 確かにトランプは非難を受ける言動が多いし、子供じみた発言もある。しかし、今回の選挙に関しては、同情を禁じ得ない。反トランプが完全正義として情報が統制されている。むしろ、論理的に真っ当なことを言っているのはトランプに見えるが、勝てば官軍、負ければ賊軍でしかない。

 今回の大統領選挙は勝負あったとすると、マスコミという反政府勢力が勝ったことになるが、これまでのアメリカは政権交代があろうとも政策の継続性があったが、今回はどうだろう。

 そして、日本も他人事ではいられない。今回の大統領選挙の日本における報道は、アメリカとほぼ同じ調子で行われている。つまり同じ構造である。であるならば、情報を鵜呑みにできない状態であり、素のデータから個々に分析し読み取っていく力がなければ、生き抜けない世の中だと認識しなければならないだろう。

トランプ大統領事実上の勝利宣言

 アメリカ大統領選挙の投票が行われ、早々にトランプ大統領による事実上の勝利宣言が為された。まだ確定できていない激戦州で郵便投票の開票がまだなので逆転もあり得ると多くのマスコミは未だに言い続けており、多くの識者もこの時点での敗北宣言の無い事実上の勝利宣言を発したトランプ大統領にフライングだとの批判を集中している。しかし、バイデン候補もほぼ同様の勝利宣言まがいの発信を先にしているのだが、そちらの批判は聞こえてこない。

 当初予想では当日開票で少しのリードをしたトランプ大統領が、郵便投票で逆転される接戦状態で、なりふり構わず郵便投票の開票停止を求める訴訟を起こすなどの対応が予測されていたが、実際は大きく異なり郵便投票完全開票を残した状態ではあるが、ほぼ逆転不可能なレベルの大差を付けているのが実態だろう。
 多くのマスコミは、大差の事実を受け入れることが出来ず、勝利宣言をしたトランプ大統領に対する批判に終始している。このこと自体が問題を露呈していることに一体どれだけの人が気付いているだろうか。私の知る限り、木村太郎さんぐらいだろうか。冷静にこの状況を予測し、現時点でのトランプ勝利を確信していたのも同氏である。(実は私も同様の予測であった)

 今回のアメリカ大統領選挙は、『トランプvs反トランプ』の構造であった。決して『トランプvsバイデン』ではなかったのである。民主党の代表がバイデンになった瞬間、私は、民主党は勝つ気がないのか、と疑った。そして、選挙戦を戦う内に、その構造が『トランプ+反バイデンvs反トランプ』に変異してきた。最後まで、バイデン推しはなかった。その証拠がレディー・ガガの最後の応援演説にも現れており、反トランプしか言っていない。この時点で、接戦だろうが、トランプ大統領優勢に動いていたのが現実だろう。
 そして、バイデンの目指す国家像、ビジョン、夢が押し出されない状態で政策論争もなく大統領になったらアメリカ国民は不幸だろうし、流石にその点は見透かされ、反バイデンが発生したのだろう。その時点で、勝負あった、トランプ大統領の勝利が決まったようなものだ。

 4年前のトランプ大統領勝利の際も、今回も、マスコミの多くは『隠れトランプ支持』を理由にしていたが、私は事実と反すると考えている。トランプ大統領が良く使う『フェイクニュース』が全てと考えている。支持率調査や、世論調査など、調査する分母を恣意的に選択し、アンケートの聞き方を工夫するだけで、簡単に事実と異なるデータに見せかけることが可能だ。アメリカの主要マスコミ(FOXを除く)の多くはリベラル系に偏向しており、報道内容を鵜呑みにできないのが実態であり、それを『フェイクニュース』と非難していたのである。速すぎる勝利宣言でも、バイデンは批判されず、トランプ大統領だけが批判されるのもその表れである。
 断言しよう、隠れトランプによる逆転などではなく、トランプvs反トランプの構造でトランプ支持が上回り、そこに反バイデンが加わって想定外の大差が付いたと見るべきだ。

 日本のマスコミも多くはリベラル系に偏向しており、この事実は絶対に認めないだろう。だからこそ、木村太郎さんの発言が貴重なのだ。しかし、トランプ大統領が露わにしたフェイクニュースの構造を認めない限り国民の目線は騙せなくなっていることも認識しなければこの先存在価値が無くなってくるだろう。

 マスコミの使命として『政権の監視』との時代錯誤の認識を持つ限り、保守ではなくリベラルに傾向するのだろう。しかし、民主主義を確立させ定着させていく過程ではそうかもしれないが、既に成熟した民主主義の時代において、マスコミの最大の役割は『事実を事実のまま客観的に伝える』であるはずだ。その先の判断は国民の判断なのである。もちろん、事実を伝えた上で、マスコミ各社の独自の見解として伝えることは良いが、事実の歪曲や操作は、例え政権監視の大義名分あっても許されるべきではない。

 そして、その批判構造に乗って、独自のビジョンなく、批判に終始する政治勢力は淘汰される。マスコミが偏向しようとも、判断が出来る国民に成熟しつつある状況下での批判勢力への裁定を下すだろう。今回の大統領選挙がそうであり、日本でも国民民主が袂を分けて一旦勢力を落としても、次回以降の選挙で維新と共に勢力を拡大し、健全な選択肢を国民に提供してくれる勢力に成長するだろう。その縮図が示された歴史的な1日であった。