悪魔の証明

 GoToキャンペーンが感染拡大の原因となるエビデンスは無い。このことは、多くの専門家もメディアも認めている。当たり前だろう、数字は嘘をつかない、GoToを始めても第2波という感染拡大は減少に向かったからだ。素直に、人の移動があっても、適切な感染防止行動、ニューノーマルの生活様式が備われば、感染拡大抑止には繋がらないと言っても良いだろう。

 しかし、良く聞こえてくるのが、『GoToが感染拡大の原因となっていないエビデンスも無い』という言い方だ。国会では野党が政府の新型コロナ対策の追及の場で、医療の専門家はあらゆる情報発信ルートを使って、メディアは無責任なコメンテイターやアナウンサーまで、同じ口調で、どちらともいえないと印象を植え付け続けている。
あまり意識されない方も多く、騙されがちだが、この言い方は『悪魔の証明』という禁じ手である。

 この世に悪魔は存在しないと主張するならば、それを証明して見せろというものだ。存在することを証明する為には、1人でも悪魔を発見すれば存在を証明は出来るが、存在しない証明は、その時点で発見されていなくても証明にはならないのだ。たまたま、発見できていないだけかもしれないからだ。従って、永遠に証明は出来ないのだ。別名、消極的事実の証明ともいう。

 従って、『GoToキャンペーンが感染拡大の原因となるエビデンスは無い』という時点で、統計的にも科学的にも因果関係は無いと言うべきなのである。もちろん、何らかの相関関係を示すデータが確認されれば、そのデータを検証して、結論が覆る可能性がゼロという訳ではない。しかし、エビデンスはない時点で科学者なら、『きかっけになったのは間違いない』『原因となっていないエビデンスも無い』とは絶対に言えないのだ。

 メディアも事実を伝える大原則が、もし、今でもあるのなら、この『悪魔の証明』は直ぐに訂正するべきだ。軽々しく発言している方々も、電波に乗せる責任を持って謝罪と訂正が必要だろう。

 国会の野党議員に関してだが、冷静に判断できる有権者を増やさないと、民主主義を崩壊させかねない。政権を攻撃するのが野党の役割だと、非論理的な言いがかりばかりで『悪魔の証明』を殊更求める傾向が強い様ではダメなのだ。論理性の無い攻撃は、野党だから結果に責任を持つ必要が無いと割り切っているから出来るのかもしれない。それでは、決して与党に押し上げようと思えなくなるだけであり、永遠の野党、永遠の無責任集団でしかなく、健全な民主主義には必要ない集団になってしまう。日本の為にも健全な議論を期待したいし、そうでないなら投票行動で示すべきだろう。

 悪魔なんて存在するはずが無いのは、常識だ。それと同じ論理で、人が動けばウィルスも動き、感染が拡大するのは常識だと言いたいのだろう。しかし、日本のニューノーマルの生活様式、感染抑止行動が伴えば、移動のリスクは充分低減され受容可能なレベルになるのだ。常識は、覆るものであり、ある条件を掛け合わせることで覆せるものなのだ。そして、このことは日本が諸外国に胸を張って誇るべき事象なのだ。

 では、なぜ今、感染拡大しているのだろうか。その問いには、なぜ昨年までのインフルエンザはこの時期に感染拡大が始まっているのだろうかと問いたい。また、風邪は何故冬に流行し、夏風邪も一定数発生するのかと問いたい。問いに対して、必ず1対1の解が存在するわけではないのが実社会。しかし、季節性の要因があることは間違いないのだ。つまり、気候を人為的に操作出来ない領域であり、冬季のリスクは、当初から認識するべきリスクなのだ。

 また、逆の言い方をすると、因果関係のないGoToを停止したところで、或いは営業時間短縮要請をしたところで、感染抑止効果は無いと言っても過言ではない。効果のない策を打つことで、被害を受ける観光業界、各種店舗は補償されたところで、必要のない被害を受ける事に違いは無いのだ。いくら補償があっても、事業継続とは全く次元が異なるのだ。これほどバランスの悪い策に対して、政府が消極的なのは当たり前で、経済か感染対策かという言い方や経済優先という解釈は本質的に間違っている。間違ったメッセージに踊らされる国民の声が民主主義社会では諸悪の根源となってしまうのであり、間違っていることは間違っていると是々非々の考察が必要不可欠だ。

 そうこうしているうちに、『GoToを推進することで国民の緩みに繋がるリスクがある』という言い方に専門家の一部は変わってきた。『悪魔の証明』に気付いて反省したのであろう。しかし、ならば打つ手は、GoTo停止ではなく、ニューノーマル、感染予防対策の徹底の訴えかけであり、法的措置が必要ならば、感染抑止対策の不備に対して行政指導、罰則規定を設けるなどが有効である。条件として、感染発生の有無に関わらず、あくまで対策の内容を評価するべきではあるが。
 そして、何と言っても医療体制の強化が一番重要な対策だろう。医療崩壊を防ぐ具体的な方法論、税金を使ってでも実効性のある対応策を提言するのが分科会、医療専門家の役割ではないのだろうか。ベッドが不足する、人が足りないとテレビで不安を煽って、政府が何もしてくれないと言っても何も前に向いて動かない。具体的に何をするべきか、論理的な発信を期待して止まない。

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